店舗数を増やすと普通は「値段が下がる」?
街中を歩いていると、「あのチェーン店あっちにもこっちにもあるな」と思うことは多々あるでしょう。
世界的に有名なファストフード店やコンビニエンスストア、コーヒーショップや日本固有のフードチェーン店、それから他の企業を圧倒する数の自動販売機を設置している清涼飲料、ある地域に集中的に存在するタクシーなどがその例に当たります。
数も多いですし、安心感があるので、こうしたチェーン店やサービスを利用する機会は多いと思います。
しかしたまの気分転換で、小規模な店に行くとあることに気づきはしないでしょうか?
「あれ?いつも行ってる有名チェーンのハンバーガーより、マイナーな店のハンバーガーの方が値段の割に量が多いぞ」
「いつも街で拾うタクシーの初乗り運賃って、実は小規模なタクシー会社より高いんだな」
「よく見かける自販機の値段も、たまに見かける自販機の値段より強気な価格設定になってる」
というように、ほとんど同じような商品やサービスを提供していても、大手チェーン店の方が強気な価格設定がされている例が身の回りにはたくさんあります。
チェーン店では、値段は安く設定されているように見えても、実際購入すると他所と比べて妙に分量が少ないというパターンも多いでしょう。
しかし、こうした最大手の企業が競合他社よりも、商品やサービスの値段を割高に設定できるメカニズムはわかっていませんでした。
というのも伝統的な経済理論によれば、供給量を増やす(=店舗数を増やす)ことは価格の低下につながるというのが常識だったからです。
例えば、店舗数が増えると、当然ながら市場に出回る商品やサービスの総量も増加します。
それにより、商品やサービスの希少性が薄まり、供給量の方が消費者の需要量を超える現象が起こります。
そうなると、お客さんに余った商品やサービスを買ってもらうために値段を下げる動きが見られるのです。
ところが先に挙げた一連の例では、「店舗数が多いのに価格が高くなる」という真逆のことが起こっていました。
供給量が多いのに値段を高くすると、お客さんに買ってもらえない可能性があります。
では、どうして最大手の企業はそうしたリスクのありそうな選択ができるのでしょうか?