ラットでも確認!「目をこする」物理的刺激そのものが炎症の引き金になる!
研究チームは、「目をこすると炎症が生じるメカニズム」を、ラットの眼を使用した実験でも確認しました。
ラットの眼にPiezo1の活性剤を投与し、観察することにしたのです。
その結果、ラットの細胞では、炎症性サイトカインの増加と好中球の浸潤が観察されました。
![画像](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2025/01/3e445c23045112fd78d9514521541277.jpg)
好中球とは、白血球の一種であり、主に細菌感染や炎症反応の最前線で活躍しています。
そもそも炎症とは、刺激や感染に対して引き起こす生体の防御反応の1つです。
生体にとって有害な異物を排除して、傷ついた組織の修復を助けるためのものなのです。
好中球にもその大切な役割がありますが、過剰に集まると逆に炎症が悪化し、組織の修復が遅れます。
そのため好中球は、「急性炎症の主役」でもあります。
ラットの実験では、Piezo1の活性により、炎症性サイトカインの増加と好中球の浸潤が見られました。
炎症性サイトカインIL-6には好中球の動員を促進する作用があるため、IL-6の増加によって好中球が過剰に集まったと考えられます。
この結果は、目をこするという行為が急性炎症反応を引き起こす可能性を科学的に裏付けるものとなりました。
![画像](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2025/01/87e4bece5452da9c18911925f7cb4bdf.jpg)
昭和大学の研究は、眼の結膜上皮細胞が、機械的刺激を感知し、炎症性物質を生成するメカニズムを世界で初めて明らかにしました。
「目をこすってはいけない」のは、単に感染や傷のリスクをさけるためだけではなかったのです。
「目をこする」という刺激そのものに、急性炎症反応を引き起こすリスクがあるのです。
同じリスクは、「コンタクトレンズの装着」といった機械的刺激にも共通するかもしれません。
そして、この理解は治療に応用することができます。
今後、Piezo1を標的にした「眼炎症の進行を抑える新しい治療法」が開発される可能性があるのです。
私たちとしては、次に目をこすりたくなった時、今回の研究結果を思い出すと良いでしょう。
目をこするのを我慢することで、自ら目の健康を守っていけるのです。