1光子で2原子を同時励起する現象を観測
1光子で2原子を同時励起する現象を観測 / Credit:1光子で2原子を同時励起する現象を観測-超伝導量子回路が見せる新しい量子力学現象-
quantum

【理研&理科大】1光子で2原子を同時興奮させる現象を観測成功 (3/3)

2025.06.20 18:00:23 Friday

前ページたった1粒の光が原子2つを同時に叩いた瞬間

<

1

2

3

>

量子光学の“道具箱”に新ツール、何が変わる?

たった1粒の光が原子2つを同時に叩いた瞬間
たった1粒の光が原子2つを同時に叩いた瞬間 / 装置を電気回路の視点で分かりやすく描いた回路図です。この図では、人工原子が「ジョセフソン接合」と呼ばれる量子力学的に振る舞う特殊な接合素子を含んでいることが示されています。また中央の共振器部分は、インダクター(コイル)とキャパシター(コンデンサー)からなる典型的な「LC回路」として描かれており、ここでマイクロ波(光子)が蓄えられ、原子と強く相互作用します。つまり、図のジョセフソン接合は人工原子の心臓部に相当し、LC回路はその原子たちとやりとりする光子の「遊び場」として機能しているのです。図において、「α₁」「β₁」「a₁」「b₁」および「α₂」「β₂」「a₂」「b₂」など、ギリシャ文字やアルファベットでラベル付けされた×印(×マーク)が、ジョセフソン接合を示しています。ジョセフソン接合こそが、量子回路を「量子」たらしめる、いわば量子現象が現実世界に顔をのぞかせる『量子のゲートウェイ』にあたる部分なのです。/Credit:Spectral properties of two superconducting artificial atoms coupled to a resonator in the ultrastrong coupling regime

ほんの1粒ので2つの原子が同時に励起する――この驚くべき量子光学の現象を、人類はついに手にしました。

今回の成果は、これまでの『1光子1原子』という前提を揺るがす画期的な結果です。

理論的に予測されながら誰も見たことがなかった現象を世界で初めて目撃したことで、量子力学の理解が一段と深まったと言えるでしょう。

ある意味では、新しい量子力学現象を観測するための強力なツールが提供されたと言えます。

超伝導量子回路というプラットフォームが今後さらなる未知の量子現象の探究に威力を発揮することを示唆しています。

実際、超強結合を利用すれば光と物質の相互作用をこれまでにない方法で活用できるため、高速かつ高効率な量子情報処理の手法につながる可能性も指摘されています。

例えば、一つの光子から同時に複数の量子ビットに情報を与えるような新原理の量子回路が実現できれば、量子コンピュータの演算や量子通信の効率が飛躍的に向上するかもしれません。

また、今回の成果は「人間がどこまで自由に量子系を設計し、新しい現象を引き出せるか」という根本的な科学の問いにも挑戦するものです。

人工的に作り出した系で自然界にはほとんど現れない量子現象を引き起こせたことは、まさに量子工学の新時代を感じさせます。

一見マジックのような量子の振る舞いも、適切な装置と工夫次第で現実の技にできます。

今回増えた“量子光学の新しい道具”を使って、今後どんな未知の現象が発見されるのか、私たちも大いに期待したいですね。

<

1

2

3

>

【理研&理科大】1光子で2原子を同時興奮させる現象を観測成功 (3/3)のコメント

ゲスト

予言する。
エッチなコメントばかりになると。

ゲスト

もつれさせた量子の片方に光子を当てた、という実験な訳ではない感じかな?

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

0 / 1000

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

量子論のニュースquantum news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!