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Credit: canva
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飛ぶ虫を「塗り薬」にするチンパンジーを発見 (2/2)

2025.10.28 17:00:02 Tuesday

前ページ森のなかで発見された「虫の塗り薬」行動

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行動の意味と進化、そして「ケア」の起源

「なぜチンパンジーは虫を傷に押し当てるのか?」

この新発見は多くの研究者に新たな疑問を投げかけています。

チンパンジーが自分や仲間の傷を放置せず、積極的に何かしらの手当てをすること自体、非常に高度な適応行動といえます。

これまでにも、彼らが腸内寄生虫の排出を狙ってザラザラした葉を飲み込んだり、抗寄生虫作用があるとされる苦い芽をかじったりする例は知られてきました。

では、虫の場合はどうなのでしょうか?

実は多くの虫は、抗菌作用や抗炎症作用のある成分を持つことが知られています。

人間の伝統医療(昆虫療法)でも、ミツバチやハエの仲間が傷の治療や感染予防に使われてきた歴史があります。

今回の観察でも、チンパンジーが虫を選んで使っているような素振りもあり、もしかすると「効果のある虫」を経験から学び取っている可能性も考えられます。

さらに、今回のフィールド観察では、虫を他個体に塗る“思いやり”行動が目撃されました。

社会性の高いチンパンジーでも、積極的な「助け合い」はそれほど頻繁には起こりません。

毛づくろいや食べ物の分け合い、喧嘩のサポートなどが代表的ですが、虫の塗布は、単なる関係維持ではなく「相手の身体的な苦痛を軽減しようとする」新たなケアの形として注目されています。

この行動がもし本当に治療効果を持っているとすれば、「ヒト以外の動物にも、薬効をもつ物質を利用し、さらには仲間を気遣う行動が進化してきた」ことを示す強力な証拠になるかもしれません。

また、こうした行動は、偶然の産物なのか、それとも他者の行動を見て学ぶのか、あるいは一部の虫だけを選んで使う選択性があるのか。

今後の研究でも解明すべき大きなテーマが残されています。

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