寄生は楽な生き方ではない
寄生は楽な生き方に思えますが、必ずしもそうとは限りません。
特にライバルができると途端に熾烈な蹴落とし合いがはじまります。
宿主の限られた資源を生かさず殺さずのまま奪い合い、生き残らなければならないからです。
ヘネグヤ・サルミニコラはそんな熾烈な競争の結果、元々持っていただろう目も鼻も筋肉も神経も脳も失って、さらに呼吸すら放棄して、多細胞から単細胞に退化しつつあります。
激しい変化の過程は、決して楽などではなかったでしょう。
それに一度捨ててしまった遺伝子は簡単には戻りません。
遺伝子の数を減らすことは、進化の可能性の制限でもあります。
「捨てられるものは捨てる」寄生戦略は、諸刃の剣なのかもしれません。