脳波翻訳は発展途上にある
もちろん、開発された脳波翻訳システムは、まだ発展途上であり、誤訳があります。
しかも、それらの誤訳は、人間の耳による「聞き間違い」とは間違え方が大きく異なるようです。
例えば、「ケーキの一部が犬に食べられた:part of the cake was eaten by the dog」は「ケーキの一部はクッキーだったpart of the cake was the cookie」と誤訳されました。
また、最も正確でない誤訳は、「彼女は暖かくて柔らかいウールのオーバーオールを着ていました:she wore warm fleecy woollen overalls」を「オアシスは蜃気楼だった:the oasis was a mirage」と訳したことでした。
このように奇妙な誤訳があるにもかかわらず、最高の状態ではエラー率5%の音声転写のプロの職人と同等の結果を提出できます。
もちろん、音声転写のプロが扱わなければいけない単語は数万にも及ぶので、限られた単語しか扱っていない今回の研究とは公平な比較とは言えません。
しかし、現段階でのパフォーマンスを考えると、このシステムは今後、「脳波翻訳」という新たな技術を確立し得るでしょう。
脳波翻訳システムには、まだ越えなければいけないハードルが数多くあります。
しかし、研究者たちは、いずれこのシステムが話す力を失った患者のための人工言語の基礎として機能する日が来ると考えています。
もし、そのようなことになれば、コミュニケーションの方法に大きな変化が起きるに違いありません。
そしてそれは「心を読む」時代の到来となるでしょう。