フィルタリングしないコーヒーは危険?
一方、フィルターをかけないコーヒーを飲んでいた人も、まったく飲まない人に比べ、明白に死亡リスクを高めていることは確認されませんでした。
しかしそれは、60歳以上の男性を除いてのことです。
若年層にはそれほど健康への悪影響がなかったものの、60代以上の男性では、心臓病の発症リスクを高めていました。
しかし、テール教授は、その原因について、「年齢や性別が問題ではないかもしれない」とも指摘しています。
というのも、20年という長期の調査中に、ノルウェーでのコーヒーの飲み方が「フィルターなし」から「フィルターあり」に変化しつつあったのです。
特に若年層ではその傾向が強かったのですが、年配の男性では、飲み方を変えない傾向が見られました。
つまり、フィルターなしのコーヒーが、健康への害悪となる可能性は十分に考えられるのです。

これを踏まえた上で、テール教授は、「以上は観察結果のため、フィルターなしが必ずしも健康に害悪になるとは言えません。しかし、コレステロール値が高い人や健康に不安を抱えている人などは、フィルターありに変えたほうがいいでしょう」と述べています。
例えば『金属フィルター』は、コーヒー本来の風味や香りをダイレクトに味わえるのが特徴です。ペーパーフィルターの場合、コーヒーの油分や甘みが紙に吸収されてしまいますが、目が粗めの金属フィルターなら、コーヒーのさまざまなエッセンスを抽出して、そのまま楽しむことができます。また、焙煎は油が出やすいため、深煎りでない豆を選ぶといいかもしれません。
日本ではほぼインスタントを含めてフィルターを通したコーヒーが飲まれていますが、特にコロナ禍で運動不足になりがちな今は、フィルターありコーヒーを飲むほうが得策のようです。
研究の詳細は、4月23日付けで査読付き医学雑誌「European Journal of Preventive Cardiology」に掲載されています。