マグネターとパルサーの両方の特性を備えている
マグネターとして知られていた「Swift J1818.0-1607」は、2020年3月12日、スイフト天文台に設置されたバーストアラート望遠鏡によって、ガンマ線の放出が検出され、その後、パルス状のX線放射も検出されました。その2日後には、電波放射も検出されました。
ですから、この観測により、「Swift J1818.0-1607」は電波放射していることが検出された5番目のマグネター(以下電波マグネター)となりました。
しかし、この5番目のマグネターは、電波マグネターというよりも、通常のパルサーに近い振る舞いをしていたのです。
分析の結果、「Swift J1818.0-1607」は、これまでに発見された中で最も早く回転しているパルサーであり、240年前に生まれた最年少のパルサーでもあることも分かりました。
「Swift J1818.0-1607」によって放出された電波は、一見すると、他の4つの電波マグネターと非常によく似ています。そこから発せられる電波放射は非常に範囲が狭いからです。
しかし、周波数における輝度は、マグネターよりもパルサーに近い傾向が発見されました。
通常、マグネターは低周波から高周波に至るまで、輝度を一定に保っています。しかし、「Swift J1818.0-1607」は高周波での輝度が劇的に落ちていました。
高周波での輝度の低下は、パルサーに共通するものです。
実際、2016年に「PSR1119-6127」と呼ばれる高磁場のパルサーが独自の電波放出を起こしましたが、その観測データは、「Swift J1818.0-1607」のものと非常に似ていました。
これらのことから、いくつかのマグネターがパルサーから進化する可能性があることを示唆しています。
進化のプロセスは不明ですが、いくつかのシナリオが考えられます。
例えば、中性子星の自転速度が急激に遅くなると、マグネターのような自転特性を示すのかもしれません。
あるいは、崩壊した中性子星が最初からマグネターのような磁場を持っていても、それが超新星の残骸であるフォールバック物質に埋もれてしまい、再び現れるまでに時間がかかるという可能性もあります。
これらを確認するためには、より多くの観測が必要でしょう。
しかし、Swift J1818.0-1607がマグネターとパルサーの中間のような振る舞いをしていることは分かったので、より長く、より感度の高い装置を使って研究できれば、本当にミッシングリンクだと証明できるかもしれません。
研究の詳細は4月24日に「arXiv」上で掲載されています。
Spectropolarimetric properties of Swift J1818.0−1607: a 1.4 s radio magnetar
https://arxiv.org/abs/2004.11522