4割以上の犬は帰巣に「もと来た道」ではなく「見知らぬ道」を選んだ
犬の帰巣行動には、やってきた道を匂いの記憶を頼りに戻っていく「トラッキング(追跡という意味)」と、全く新しい道を開拓しながら戻る「スカウティング(偵察という意味)」の2種類があることが知られています。
そこで研究チームは、27匹の犬にGPSを取り付けて、のべ622回の帰巣行動を広大な森の中で記録しました。
帰巣先は、その日飼い主と一緒に冒険をはじめた場所であり、犬たちは毎回、始まりの場所に飼い主がいることを期待して、帰巣行動を繰り返したとのこと。
実験によって行方不明になった犬は一匹もおらず、飼い主が待つ方角や実験開始時間など条件を変えても、全ての犬が帰巣を完了しました。
次に研究チームは得られたデータを分析し、犬たちの帰巣パターンを調べました。
結果、全帰巣パターンのうち、トラッキング(もと来た道を辿る)は399回、スカウティング(新しいルートで帰る)は223回行われ、50回はトラッキングからスカウティングに変化したものでした。
人間の場合、見慣れぬ森の中で置き去りにされると、ほぼ全ての人間がもと来た道を辿るトラッキング法での帰還を目指すことを考えると、犬のスカウティング率(途中変更を含め約4割)の高さは圧倒的と言えます。
なお犬の場合、帰巣行動中の平均的な移動速度はスカウティングのほうが早く(迷いがない)、また帰巣中に移動した総距離もスカウティングの方が短くて済みました。
ただ、一度の間違いによる損失距離はスカウティングのほうが大きく、トラッキングは帰巣にかかる距離がかさむものの、エラー幅が小さく着実な帰巣方法であると言えます。
しかし4割の犬はどうして見知らぬ道を帰り道として積極的に選ぶことができたのでしょうか?