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「精子の泳ぎ方」は約350年間ずっと勘違いされていた!? コルク抜きのように”体をねじって進む”と判明 (2/2)

2020.08.03 Monday

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遊泳する精子の3次元挙動

今回報告された研究は3次元顕微鏡の観測を、秒間5万5千フレームという高速カメラで詳細に記録し、精子の動きを分析しました。

すると、これまで考えられていたのとはまるで異なる精子の動きを発見したのです。

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Credit:Polymaths Lab – University of Bristol

これがその観測された遊泳する精子の3D モデルです。ちょっと分かりづらいので正面からみた画像も見てみましょう。

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Credit:Polymaths Lab – University of Bristol

ここからは精子がうなぎや蛇のように、尾を左右対称にくねらせて遊泳しているのではないということがわかります。

精子は左右に尾を振るという動作ができない構造だったのです。

以前から精子は分子構造が左右対称ではなく、以前からなぜ左右対称に尾を振って泳げるのか? と疑問の声が上がっていました。しかし、その謎は精子の泳ぎを3次元的に捉えることで明らかにされたのです。

片足だけ使って泳ぐことを想像してみましょう。このときわたし達は、片側だけに推進力が生まれるため同じところをぐるぐる回るだけで、前に進めないという状況になってしまいます。

精子はまさにそんな状況にありますが、このとき体全体を回転させることでこの不自由な動きをカバーしていたのです。

精子の泳ぎ方はまるでコルク抜きのようだ、と研究者は表現しています。

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Credit:Polymaths Lab – University of Bristol

上の動画から分かるように、レーウェンフック以降、人類はずっとこの動きを2次元的に見ていたので、まるで尾を左右に振ってうなぎのように泳いでいると勘違いし続けていたのです。

精子はスイマー(水泳選手)ではなく、スピナー(回転体)だったと海外の人々もこの発見に驚いています。

精子の動きを知るというのは、単純に興味深い話ですが、こうした研究は精子がうまく泳げないために起きる男性側起因の不妊症問題を解決するためにも役立つだろうと研究者は語っています。

この研究は、ブリストル大学及びメキシコ国立自治大学の研究チームより発表され、論文はオープンアクセスの科学誌『Science Advances』に7月31日付けで掲載されています。

Human sperm uses asymmetric and anisotropic flagellar controls to regulate swimming symmetry and cell steering
https://advances.sciencemag.org/content/6/31/eaba5168

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reference: University of Bristol,newscientist/ written by KAIN

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