滝の岩壁も登る「ケイブ・エンゼルフィッシュ」
その一方で、歩行能力はタニノボリ科の中でもごく少数に限られています。
過去に東南アジアに生息するタニノボリ科100種以上を調べた研究で、歩行能力の存在が判明したのはケイブ・エンゼルフィッシュだけです。

彼らの歩行能力は、流れの急な洞窟の環境で生き延びるための「適応」と言われています。
岩肌の露出した川床をヒレでつかんで生息地を自由に移動したり、ときには滝の岩壁を登ったりもするそうです。そのおかげで、酸素が豊富で、天敵や占有者がいない安寧の地に容易に移住できます。
それでも、食べているエサなど、生態の多くのことがいまだに分かっていません。
研究チームは今後、タニノボリ科の歩行能力の起源を調査しつつ、ケイブ・エンゼルフィッシュの生態も解明していく予定です。