メタゲノミクスで隠された細菌を見つける
この仮説の証拠を探すために利用されたのが、メタゲノミクスという微生物学の研究分野です。
地球上の細菌の99%近くは、単独で培養することが困難だと考えられています。こうした微生物のゲノム情報を入手する方法として、自然の環境サンプルから細菌叢をそのままとってきて、DNAのミックスされた状態から遺伝情報を解析するという研究手法が取られてるのです。
これがメタゲノミクス解析と呼ばれるもので、海水や土壌の他、生き物の腸内や口腔などさまざまな細菌叢が研究されています。
こうしたメタゲノミクスのデータベースも作られていて、今回の研究チームは、動物サンプルの最大の遺伝的データベース「Metagenomics Rapid Annotation using Subsystem Technology(略称: MG-RAST)」から、磁性細菌の遺伝子が含まれているか調査を行ったのです。
こうしたデータベースでは大規模な細菌叢のパターンや微生物多様性などは調べられていますが、特定の種にスポットを当てて検証されていることが少なく、見落とされていた可能性があると研究者の1人セントフロリダ大学のFitak氏は語っています。
そして調査の結果、ペンギンやアカウミガメ、コウモリやセミクジラから定期的に磁性細菌が発生している証拠を発見したのです。