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biology

ナゾだった”地球の磁場”を感じ取る動物の「第六感」は、バクテリアに由来しているかもしれない

2020.09.16 Wednesday

ウミガメは産卵の際、必ず自分が生まれてきた砂浜に戻って来ます。

また、渡り鳥も広い地球で迷うことなく目的の土地へ向かって移動できます。

さまざまな動物たちが、自分は地球上のどこにいるのか、どちらへ向かっているのか、迷うことなく感じ取る能力を持っているのです。

これは地球の磁場を感じているためだと考えられていますが、実際それを可能にする器官がどこにあるのかは、50年近い研究が続けられているにもかかわらず、未だに解明されていませんでした。

セントフロリダ大学を始めとした研究者チームが8月10日付けで科学雑誌『Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences』に掲載した研究によると、動物が磁場を感じる理由は、バクテリアの影響なのではないかとする仮説が発表されました

バクテリアで地球の磁場を感じ取るとは一体どういうことなんでしょうか?

UCF College https://www.ucf.edu/news/animals-magnetic-sixth-sense-may-come-from-bacteria-new-paper-suggests/ , phys https://phys.org/news/2020-09-animals-magnetic-sixth-bacteria-paper.html , 金沢大学 http://pronet.w3.kanazawa-u.ac.jp/J/STUDY/mtb.html

磁石のようなバクテリア「磁性細菌」

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磁性細菌の例。/Credit:金沢大学 生体分子生理学研究室

細菌が磁場に関連すると言われても、すぐにはピンと来ませんが、バクテリアの中には外界から鉄イオンを細胞内に取り込み、マグネタイト(磁鉄鉱)の結晶を作り出すものがいます

この磁鉄鉱の結晶は細胞の中心に並んで、まるで棒磁石のようになります。

こうした細菌は磁性細菌と呼ばれ、まるでコンパスのように地磁気を感知し、地球の磁場の影響を受けて運動します。

動物たちの磁気を感知する能力については、50年以上に渡って研究されているにもかかわらず、どのように実現してるのかがわかっていません。

新たな研究は、動物たちが磁性細菌と共生関係を結び、地球の磁場を感じとる能力を獲得した可能性を指摘したのです。

次ページメタゲノミクスで隠された細菌を見つける

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