暗闇の中で行われる光合成
冬の北極海は光の反射性に優れた不透明な氷によって覆われ、海中は暗黒の世界になります。
そのため冬の長い間、植物プランクトンは休眠状態になり、雪解けまで生き延びていると考えられてきました。
しかし冬の北極海の植物プランクトンの休眠に関する研究はほとんど行われておらず、本当に休眠しているかは誰も知りませんでした。
そこでカナダの研究者たちは、光量を測定するだけでなく、植物プランクトンの数や濃度を調べる機能まで持った高性能な観測装置を投入し、その実態に迫ろうとしたのです。
観測の結果、太陽が昇らなくなる極夜が起こり、氷が最も分厚くなる2月でさえ、植物プランクトンたちは成長を続けていたことが分かりました。
また研究者が成長の要因を分析した結果、暗闇にもかかわらず光合成が行われていることがわかりました。
北極の植物プランクトンたちは環境に適応し、氷を抜けてくる僅かな光子をエネルギー源にできるように進化していたのです。
しかし発見は暗黒での光合成にとどまりませんでした。