飲み薬は便利だけど効き目は……
意外かもしれませんが、飲み薬は投薬法として「苦肉の策」なんです。
なぜなら胃をターゲットとした胃薬などは別として、頭痛や咳、糖尿病や精神病といった多くの薬の目的地は、消化管以外の部分にあるからです。
さらに私たちの胃の優れた消化能力は薬も容易に分解し、効き目を奪ってしまいます。
そのため、ほとんどの薬において、最も効き目がある投薬法は注射となります。
私たちにとって身近なカプセルや錠剤の形をしている「痛み止め」や「風邪薬」の主成分も、実は注射したほうが、より効き目を発揮するのです。
しかし一部を除き、多くの人にとって注射は痛くて嫌なものです。
加えて、簡単に摂取できる飲み薬でも飲み忘れや意図的な忌避があるなかで、注射という形態はさらに多くの「スキップ」や「ボイコット」を発生させます。
その結果は悲惨なものであり、アメリカだけで年間、12万5000人もの死亡が、注射を拒否したことで引き起こされています。
そんな社会背景があってか、痛くない注射の研究が活発に行われています。そして今回、Rani Therapeutics社は「のむ注射」を開発しました。