ほうれん草の葉から「食用可能な足場」をつくる
実験的に人工肉を培養するだけであれば、プラスチックのスキャフォールドが使用できます。
しかし、これでは食肉にはなりません。
そこで科学者たちは、これまでに動物から採取したゼラチンスキャフォールドや、大豆タンパク質で作られたスキャフォールドを利用してきました。
そして最近、ゴーデット氏ら研究チームは、別の植物ベーススキャフォールドを提案しました。
ほうれん草の葉からスキャフォールドを作ったのです。
この新しい取り組みは、以前に行われた「ほうれん草のスキャフォールドによる人間の心臓細胞培養」の成功例に基づいているとのこと。
心臓細胞の培養が成功したのであれば、食用の牛肉ステーキにも適用できると考えたのでしょう。
実験では、ほうれん草の葉から植物細胞が取り除かれ、骨格構造(葉脈)だけを残します。
これをスキャフォールドとし、牛の細胞を定着させ培養することにしました。
その結果、ほうれん草スキャフォールドで牛細胞は14日間生存し、筋肉へと分化しました。
今回の成果は、人工肉の生産量の増加や環境コスト削減に役立つと考えられます。
研究チームは、今後、より分厚いステーキを作るために、ほうれん草スキャフォールドの上でより多くの細胞を成長させる予定です。
将来、ほうれん草を利用した分厚い人口牛肉ステーキが食べられるかもしれませんね。