朝にチョコを食べると体重が減る?
研究主任で神経科学者のフランク・シーア氏は、今回の研究について次のように話します。
「ミルクチョコレートは一般に、脂肪分や糖分、カロリーが高いため、体重増加を助長するとされています。
また、チョコレートの食習慣は、用量依存的に長期的な体重増加と関連しており、とくに体重増加の影響を受けやすい閉経後の女性において、その傾向が顕著です。
しかし他方で、過去の関連研究のメタ分析では、数週間チョコレートを食べ続けても、体重や体脂肪分布は変化しないことが示されています。
これを踏まえて私たちは、2週間という短期間に限定してチョコレートを朝または夜に食べることで、体重や脂肪分布に良い影響を与えるのではないかと仮説を立てました。」
そこで研究チームは、1日の異なる時間帯にチョコレートを食べることの効果を明らかにするため、閉経後の女性19人を対象に調査を開始。
被験者を3つのグループに分け、朝(起床後1時間以内)または夜(就寝前1時間以内)に100gのチョコレートを摂取する2グループと、チョコを食べないグループを用意しました。
2週間の実験期間中は、被験者の空腹感や食欲、脂質の酸化、血糖値、睡眠パターン、体温などを記録します。
実験の結果、時間帯に関係なく、チョコレートを2週間食べ続けても体重は増加しないことが分かりました。
チョコレートの摂取は、空腹感と甘いものへの欲求を減退させ、ほかの食べ物の摂取量を減らしていたのです。
朝にチョコを食べたグループでは、空腹時の血糖値が下がり、脂肪燃焼が促進されていました。
同チームのマルタ・ガローレット氏は「カカオに含まれるフラバノールという有益な化学物質が、脂質の酸化を誘発するためではないか」と考えています。
さらに、ストレスホルモンであるコルチゾールの1日の量は、朝にチョコを食べたグループの方が、夜に食べたグループより低いことが分かっています。
また、夜にチョコを食べたグループでは、朝グループに比べて、より規則的な睡眠パターンが誘発され、入眠開始の変動が小さくなっていました。
シーア氏は「今回の結果は、特定時間でのチョコ食が、空腹感や食欲を抑えて、自由摂取エネルギー量を減少させることを示唆する」と述べています。
その一方で、本調査はサンプル数が少なく、実験対象者が閉経後の女性に限られている点で限界があります。
この結果を確認するには、男性や若い女性を含む大規模な調査が必要です。
専門家は「もし実践するとしても、チョコレートは脂質と糖分を多く含むため、バランスの取れた食事の一部として適度に取り入れるべきでしょう」と指摘しています。