地球から約3100万光年離れた場所にある渦巻銀河「NGC3627」
地球から約3100万光年離れた場所にある渦巻銀河「NGC3627」 / Credit:ESO/PHANGS
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2021年に話題となった「壮大な宇宙ニュース」ランキング

2021.12.30 Thursday

2021年もまもなく終わりを迎えようとしています。

地上は新型コロナウイルスでさんざんでしたが、ひとたび地球を離れ宇宙へ目を向けると、そこにはさまざまな新しい発見がありました。

火星探査機パーサヴィアランスが火星に降下し、月面の探査機が謎の物質を見たと報告したり、民間人が宇宙へ行ったり…。

その中で今年世間を騒がせた興味深い宇宙関連の記事をランキング形式で紹介します。

SFまがいの夢にあふれる宇宙の話題で今年を壮大に締めくくりましょう。

2021年話題を読んだ宇宙関連記事 BEST5

第5位 土星が傾いている原因は「衛星タイタン」に引っ張られたせいだった

土星は約27℃の傾きを持っている。
土星は約27℃の傾きを持っている。 / Credit:canva

土星の傾きは40億年以上前に、海王星軌道が変化した影響だと考えられています。

しかし、1月18日に科学雑誌『 Nature Astronomy』で発表された新しい研究は、土星が傾いた原因は、衛星タイタンの移動の影響で現在もその傾きを大きくしていると報告しています。

この考えでは、土星の軸の傾きは今後数十億年で2倍以上になる可能性があるそうです。

土星が傾いている原因は「衛星タイタン」に引っ張られたせいだった

土星については他にも興味深い研究が今年は報告されていて、カリフォルニア工科大学の天文学者マンコビッチ博士は、土星の内部は地面どころか、はっきりした境界を持つコアすらなく曖昧な状態になっている、という研究を発表しています。

土星が好きな人はこちらも合わせてどうぞ。

土星のリングに浮かぶ波紋から土星の内部構造が明らかに

第4位 「木星の大赤斑」の深さは地上から国際宇宙ステーションまでの距離を上回る

ジュノーが測定した木星大赤斑の大きさと深さを地球との合成で示した図
ジュノーが測定した木星大赤斑の大きさと深さを地球との合成で示した図 / Credit:NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS; JunoCam Image processing by Kevin M. Gill (CC BY); Earth Image: NASA

木星を周回するNASA探査機「ジュノー」が、木星のトレードマークともなっている大赤斑の嵐がどのくらいの深さまで広がっているかを明らかにしました。

この報告によると、大赤斑は雲頂から500kmもの深さまで続いているそうです。

これは地球に置き換えた場合、地上から国際宇宙ステーション(ISS)が浮かぶ軌道上よりも長い距離です。

木星の大赤斑は「地上から国際宇宙ステーションの距離より深く広がる嵐の渦」だった

第3位 太陽コロナが熱すぎる理由はナノフレア!?

ナノフレアを起こす太陽の想像図。
ナノフレアを起こす太陽の想像図。 / Credit: ISAS/JAXA

最近、NASAの観測機パーカー・ソーラー・プローブ が太陽コロナに史上初めて突入したというニュースが話題となりましたが、実は太陽コロナは太陽表面より熱いということをご存知でしょうか?

太陽の表面温度は6000度ですが、なんと表面から離れた大気(コロナ)は100万度以上もあるのです。

これは「コロナ加熱問題」と呼ばれ、太陽最大の謎と言われています。

科学雑誌『Nature Astronomy』に発表された研究は、この問題を説明するナノフレアを確認したと報告しています。

太陽コロナが表面よりも100万℃以上熱い理由を説明する「ナノフレア」を初観測!

第2位 球状星団の中には無数の小さなブラックホールがある!?

画像
Credit:ESA/Hubble, N. Bartmann

球状星団とは銀河の周辺にある、星々が集まって光の玉のようになっている天体のことです。

この球状星団の中心には、中間質量ブラックホールがあり、それが星々を集めていると考えられていました。

しかし、2月11日に科学雑誌『Astronomy & Astrophysics』で発表された新しい研究は、星団の星の動きを分析した結果、球状星団の中心は小さな複数のブラックホールの集まりになっていると報告したのです。

これは興味深い意外な発見であると同時に、天文学者たちの期待を裏切る発見です。

「小さなブラックホールの群れ」があらわれた! 球状星団の中心にあるのは、1つの大きなブラックホールではなかった

第1位 ダークマターの正体は「原始ブラックホールの中は別次元の宇宙」!?

観測可能な宇宙を対数スケールで表した図。ペンローズの理論では、宇宙の境界は、内側から見た場合膨張する宇宙に、外から見た場合、事象の地平線として観測される。
観測可能な宇宙を対数スケールで表した図。ペンローズの理論では、宇宙の境界は、内側から見た場合膨張する宇宙に、外から見た場合、事象の地平線として観測される。 / Credit:Wikipedia

宇宙には星の崩壊に依らず、高密度の空間が崩壊することで形成されるブラックホールが存在すると言われています。

それはビッグバン直後の初期宇宙で誕生したとされていて、原始ブラックホールと呼ばれています。

米国物理学専門誌「Physical Review Letters」のオンライン版に掲載された研究では、この原始ブラックホールが、実はビッグバン直後に無数に誕生した別の「子」宇宙である可能性を語っています

そしてそれこそがダークマターの正体である可能性があるそうです。

SFじみた話ですが、研究者はこれが観測によって検証可能だと主張しています。

「原始ブラックホールの中は別次元の宇宙」であり、それこそがダークマターの正体かもしれない

壮大な宇宙の神秘に触れて、地上での嫌なことは忘れて年を越しましょう。

では良いお年を!

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