メソアメリカでは「260日」と「365日」の暦を併用していた
260日周期のカレンダーが使用されたのは、今日のメキシコおよび中央アメリカ北西部にあたるメソアメリカです。
メソアメリカでは約4000年前から人々が住み始め、紀元前1250年頃にオルメカ文明が、紀元前1000年頃にマヤ文明が誕生しました。
そして、これらのメソアメリカ地域では、260日の祭祀(さいし)暦と365日の太陽暦を組み合わせて使っていたことが分かっています。
これを「カレンダー・ラウンド(Calendar Round)」と呼び、約52年で一周して、その変わり目には盛大な儀式が執り行われたそうです。
365日は地球が太陽を一周する日数に則っていますが、なぜ260日を一つの周期としたのかは定かでありません。
今のところ、何らかの数字的意味合い、農耕のスケジュール、人間の妊娠期間(平均266日)などと関係する説があります。
一方で、260日暦がいつから使われていたのかは長らく不明でしたが、昨年4月、中米グアテマラ北部にあるマヤ文明のピラミッド遺跡から、紀元前3世紀にさかのぼる260日暦の文字断片が発見されたのです。
見つかったのは、カレンダーの中の1日を示す「7日目の鹿(7 Deer)」でした。
マヤ文明では、1〜20日それぞれに名前を付けて1カ月とし、これを13回繰り返して1年(260日)としていました。
日付の名前は、たとえば、8日目の兎(8 Rabbit)、9日目の水(9 Water)、10日目の犬(10 Dog)という感じです。
この発見により、文字の上では少なくとも2300年前から260日暦が使われていたことが判明しました。
詳しくはこちらの記事から。
これと別に、研究者らはずっと「文字の発明以前に260日カレンダーが使われていたのではないか」と考えていました。
ただやはり文字として残されていない以上、それを証明することは困難です。
しかし古代人の中には、巨石を組んだ構造物を使って暦を作っていたことが知られています。
そこで研究チームは今回、LIDAR(レーザー画像検出と測距)を使った大規模な航空調査を行い、上空からメキシコ湾岸の一帯を走査することにしました。