「習慣化」で無駄な思考をカットする
選択や決断は、程度の差こそあれ、どんなものでも精神的に疲れるものです。
しかし習慣化は、余計な思考力を使う必要性をなくしてくれます。
習慣化とは、言い換えれば、自分ルールを設定することです。
たとえば、曜日ごとに着る服は固定するとか、朝食は必ずパンとコーヒーにするなど、日常生活の行動を前もってルール化しておくのです。
そうすれば、些細な選択肢に悩む時間がカットされ、心を浪費せずにすみます。
ジョブズやオバマ元大統領の服装選びも、この習慣化の一例でしょう。

ここでハノッチ氏は、アメリカの心理学者ダニエル・カーネマン氏が有名な著書『ファスト&スロー(Thinking, Fast and Slow)』で唱えた考え方を引き合いに出します。
カーネマン氏によると「人間はシステム1とシステム2という2つの異なる情報処理のメカニズムを使っている」という。
システム1とは、自動的・直感的・無意識的なもので、思考の努力をほとんど必要としない「速い思考」を指します。
具体的には「2つの物体のどちらが遠くにあるかを見分ける」とか「音の聞こえた方を感知する」などで、これらに思考の労力は必要ありません。
そして、習慣化もシステム1に属します。
対してシステム2とは、目的意識を持って熟慮を働かせる「遅い思考」のことです。
こちらは、常に自動で働いているシステム1で処理しきれない問題に遭遇したときに使われ、大きな労力を要します。
意識的な選択や決断はこちらに属します。
ハノッチ氏は、些細な意思決定をなるべくシステム1で対処できるよう習慣化できれば、重要な場面で創造力を十分に発揮できるだろうと述べています。