朝食に「男性は炭水化物」「女性は脂質」を多く取るべき
今回、アボ氏ら研究チームは、性別による代謝の違いを明らかにするために「全身の代謝モデル」を作成しました。
「モデル」とは、現実世界のシステムや現象を理解・予測・再現するために作られた数学的、コンピュータベースのシミュレーションを指します。
今回の研究で作成されたモデルでは、人間の身体が「脳」「心臓」「肝臓」「消化管」「骨格筋」「脂肪組織」「その他」に区分され、22種類の代謝物質と、25種類の反応(化学的な代謝過程)、血糖値に関与するホルモンが考慮されています。
これにより、男性と女性のそれぞれの身体で、摂取した栄養素がどのように変化し、使用されるかが詳細な点までシミュレーションできます。
そしてこのモデルを使って朝食(数時間食事しなかった後の栄養摂取)の代謝の違いを調べました。
その結果、男性と女性では、朝食時に異なる食品を食べることが、代謝を高めるのに有効だと判明しました。
男性では炭水化物を多く含む食事(米、オートミールなど)が代謝を高めるのに対し、女性では脂質を多く含む食事(オムレツやアボカドなど)が代謝を高めると分かったのです。
これは、女性の身体が「脂質をエネルギー供給のために使い、間接的に炭水化物の代謝を支援する」ことが得意だからです。
特に朝食など、食事を取らない状態がしばらく続いた時や、エネルギーが不足しているタイミングでは、この傾向が強くなります。
一方で、男性では、女性ほど脂質の分解や利用が活発でないため、炭水化物を取り入れることで代謝を維持しやすいことが分かりました。
そしてシミュレーションによると、この男女差は、肝臓と脂肪組織が栄養素を蓄える方法の違いから来ているようです。
もちろん、「女性は朝食に脂質を取った方が代謝アップしやすい」と言っても、摂取カロリーが消費カロリーをオーバーしていては、結局太ってしまいます。
1gあたり炭水化物が4kcal、脂質が9kcalと大きな違いがあることも忘れず、正しく摂取カロリーを管理することが大切です。
その上で朝食では、男性は炭水化物の割合を高め、女性は脂質の割合を高めに摂るよう意識すると、効果的なダイエットできるでしょう。
一緒に暮らしている場合、同じものを同じタイミングで食べるのは当然と言えますが、もし二人がダイエットしているのであれば、朝はあえて別々の食事を選択するのもアリかもしれません。
朝食において、和食は炭水化物が多く、洋食は脂質が多い傾向があるため、「男性は和食、女性は洋食」という選択もできるでしょう。
もしくは、同じものを食べつつ、それぞれ、ご飯やおかずの量を調整することもできるはずです。
「朝に何を食べるか?」それは男性と女性でそれぞれに考えた方が、健康的な生活の助けになるでしょう。