アルビノになった原因は何だったのか?
一見すると、奇跡のような偶然によって生まれたコピート。
しかし、その背後には近親交配による複雑な遺伝の影響がありました。
彼の死後、2013年にバルセロナの進化生物学研究所によって実施されたゲノム解析により、アルビニズムの原因はSLC45A2遺伝子の変異であることが明らかになりました。
この遺伝子は常染色体劣性であり、両親からそれぞれ変異遺伝子を受け継ぐことで発現します。
研究者たちは、コピートの両親が約12%のDNAを共有する近親であった可能性を示しました。
つまり、近親交配によって父親と母親の両方から劣勢遺伝子を受け継いでしまったせいで、コピートはアルビノを発現したと考えられるのです。

一方で、コピートは非常に性欲旺盛なオスでした。
彼は、3頭の雌ゴリラとの間に21頭の子どもをもうけたとされています。
彼の子どもたちにアルビノは現れなかったものの、後の遺伝子検査で、彼の子孫の中にアルビノ遺伝子を保因している個体が複数いることが確認されています。

しかしコピートの美しくも儚い特質は、やがて命に陰を落とします。
2001年、皮膚がんと診断され、その原因が長年浴び続けた紫外線にあることはほぼ確実とされました。
アルビノ個体はメラニンが欠如しているため、肌が紫外線に対して無防備なのです。
2003年、病状の進行により安楽死が選ばれ、彼は静かに息を引き取りました。
享年はおよそ38~40歳。
飼育下のゴリラは長くて50歳くらいまで生きるのでやや短命ですが、アルビノというハンデを背負っていたことを踏まえると、十分長生きできたと言えるでしょう。