究極のダイエッター!?移動するザトウクジラの体脂肪の変化とは?
ザトウクジラ(学名:Megaptera novaeangliae)は、年間を通じて南極と赤道近くの熱帯地域を往復する回遊生活を送っています。
彼らは南極の冷たい海で、主食である南極オキアミを大量に捕食し、体に脂肪を蓄えます。
そして、そのエネルギーを頼りに、コロンビア沿岸などの温暖な海へと約8000km(片道)を泳ぎ切り、そこで繁殖や子育てを行います。
ここで重要なのは、移動中はエサをほとんど食べないということです。
つまり彼らは、1年の中で “大食い” と “断食” を使い分けて生きているのです。

しかし、このような極端なエネルギー管理が、実際にどれほどの脂肪やカロリーを消費しているのか、またどの時期にどれほど太って痩せているのかについて、これまで詳しく分かっていませんでした。
そこで研究チームは、2017年から2019年にかけて、103頭のザトウクジラを対象に、ドローンによる空中撮影を実施しました。
撮影地点は、南極の採餌地(ウェスタン南極半島)と、コロンビアの繁殖地(トリブガ湾)。
それぞれの地点で撮影したクジラの体長・体幅を測定し、そこから体積・脂肪量・体脂肪率を3Dモデリングにより推定しました。
また、同時に過去の実験データや脂肪組織の密度、オキアミのカロリーなどを用いて、どれほどのエネルギーが消費されたのか、どれほどのオキアミが必要だったのかを算出しています。
その結果、ザトウクジラが驚異的なダイエッターであることが分かりました。