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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
biology

「生存不能」とされた北極の海氷下で「生命体」を発見 (2/2)

2025.10.29 22:00:20 Wednesday

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海氷下の生命が「気候」を動かす?

こうした非シアノバクテリア性ジアゾトロフ(NCDs)の増加は、単なる学術的な発見に留まりません。

彼らが窒素を供給することで、海氷下や氷縁部の「藻類」の生産が促進される可能性があるのです。

藻類は、動物プランクトンや小魚を養う“海の食料工場”ともいえる存在で、食物連鎖の基盤を支えています。

さらに藻類が増えれば、彼らの光合成活動によって大気中の二酸化炭素(CO₂)がより多く吸収されることになります。

これは、気候変動における「炭素循環」の見積もりを見直す必要があることも意味します。

実際、研究チームは北極海の海氷融解が、直接的または間接的に窒素固定を促進し、藻類増加→CO₂吸収増加→食物網の変化、といった連鎖的な影響を引き起こす可能性がある」と指摘しています。

ただし、生物システムは非常に複雑です。

藻類が増える一方で、他の環境要因が逆方向に働くこともあり得ます。

そのため、今後の気候モデルには北極の窒素固定という新たなプロセスを必ず組み込むべきだと研究者は強調しています。

実際、今まで北極海は「栄養不足で生産力の低い海」と見なされてきましたが、今回の発見によって、私たちが想像していた以上に多様でダイナミックな世界が氷の下に広がっていることが示されました。

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