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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
biology

国産キングサーモンの完全養殖に初成功、北海道大学 (2/2)

2025.10.31 12:00:29 Friday

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完全養殖に成功!

研究グループはまず、2022年に函館沿岸で定置網にかかったキングサーモンを確保し、その卵と精子を使って人工授精を行い、初代の人工種苗を作成しました。

この子魚たちは、函館市国際水産・海洋総合研究センターや北海道大学の淡水実験所で大切に育てられました。

ところが、オスのキングサーモンは比較的早く成熟する一方、メスは成熟まで3年近くかかります。

2024年にはオス親魚の精子を得ることができましたが、肝心のメス親魚が成熟せず「次世代」を作り出すことはできませんでした。

チームはそこから1年、飼育環境や餌、光の管理など細心の注意を払いながら待ち続けました。

そしてついに2025年7月下旬から8月上旬、初代の人工種苗から育ったメス16個体が成熟し、卵約2万6000粒が採取されました。

同時期にオス36個体の精子も得られ、改めて人工授精が行われたのです。

【こちらは、完全養殖によって誕生したキングサーモンの稚魚の画像

受精卵は順調に発生し、胚の発達が進む「発眼卵」まで到達したのが約1万1000粒。

2025年9月からは孵化が始まり、最終的に約9000尾もの国産キングサーモンの稚魚が誕生しました。

これにより、日本初となる「親から子、子から孫」まで人工的に育てた“完全養殖”のキングサーモンが誕生したのです。

今後はこれらの稚魚をさらに大きく育て、有用な個体を親魚として「品種改良(育種)」を重ねていくことが可能になります。

これによって、安定した種苗供給や、日本独自の高品質なキングサーモンのブランド化、さらには国内外の高級魚市場への新たな展開が期待されています。

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