陸地への適応能力
歩くサメは、特殊に発達した4つのヒレを巧みに使って、地を這うように移動します。
また、彼らは海中で活発に泳ぐことはなく、生まれた場所のサンゴ礁にへばりついて生きており、どちらかというと「引きこもり」な生物です。
また歩くサメは、陸地にいると避けられない「酸素問題」にも耐えられるように進化しています。
呼吸数や心拍数を低下させ、脳の活動も緩めることで、最大1時間まで陸地に留まることができるのです。
呼吸がキツくなってきたら、潮溜まりのある場所に移動したり海中へ歩いて戻り始めます。
彼らのヒレは他のサメと比べて軟骨が分離・縮小しており、ヒレの可動域を広げています。
同じように前脚と後ろ足を持つ「魚」は、3億6500万年前の地球に生きていたアカンソステガだけです。
アカンソステガは魚と両生類の両方の特徴を持っていましたが、進化によって両生類となり、その後脊椎動物として初めて陸上にあがりました。
この歩くサメも十分な進化の時間があれば、サメ由来の両生類に進化するかもしれませんね。
しかし現在、すでに3種類のテンジクザメが国際自然保護連合のレッドリスト(絶滅危惧種)に指定されています。
体長は1m近くあるものの、可愛らしい見た目と大人しさから、水族館や個人の需要に応えるために大量に捕獲されているのです。
歩くサメが「何か別のもの」に進化する可能性は、今のところなさそうです。