今月16日、久慈琥珀博物館(岩手)、早稲田大学、城西大学は、昨年5月に岩手県久慈市で見つかった化石が、絶滅した太古のサメ「ヒボダス類」の背びれのトゲであったことを発表しました。
化石は、同博物館が催した発掘体験にて出土しており、ヒボダス類のトゲが見つかったのは日本で初めてのことです。
世紀の発見をしたのは、発掘体験に参加した一般女性の高橋光さん。
高橋さんは「最初は木の化石かと思ったが、空洞は骨髄で生物の骨ではないかと思い興奮した。貴重な発見に携われてうれしい」とコメントしています。
日本初!ヒボダス類の「トゲ」を発見
発掘場所となったのは、久慈市にある「久慈層群玉川層」で、国内最大級の琥珀の産出地として有名です。
玉川層は、約9000万年前の白亜紀後期(1億50万〜6600万年前)の地層に当たります。同博物館は、2004年から来館者による発掘体験を始めており、これまでワニ類やカメ類の化石がいくつも発掘されました。
2018年には、参加者によりTレックスの歯の化石も見つかっています。
今回見つかったヒボダス類のトゲは、ほぼ全体の形状を留めており、長さが約19センチありました。このサイズから、トゲの持ち主の全長は1メートル程度だったと推測されています。
トゲは、天敵のワニや恐竜から身を守るために使われたようです。
サメは、骨格の大半が軟骨でできた「軟骨魚類」の一種であり、その中でも板状のエラを持つ「板鰓亜綱(ばんさいあこう)」に分けられます。
ヒボダス類は、板鰓亜綱の非常に古いグループに属し、3億年以上前の石炭紀に誕生しました。その後、白亜紀になって、より強く、より俊敏に進化したサメ類の登場により絶滅していきます。
ヒボダス類のトゲは、何度も生え変わる歯とは違い、滅多に見つかりません。
これまで日本国内では、北海道穂別町の「蝦夷層群」から歯の化石が発見されていますが、トゲが見つかったのは初めてです。
さらに、白亜紀後期に生きたヒボダス類の発見は、東アジア圏では非常にめずらしく、当時の東アジアの生態系を知る上で大きなヒントとなります。
また、一般参加者による発見も注目すべき点であり、発掘体験は、想い出づくり以上の大発見が可能な場所であることを証明しています。
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