発生源とされていた中国よりも欧米で感染が広がっているワケ
現在、新型コロナウイルスに対して数多くのワクチンが開発されています。
数が多い理由の一つとして、その多くが未来型ワクチンとして開発されているからです。
分解したウイルスの体の一部を使うか全部を使うかしか選択肢がなかったかつてとは違い、ワクチン設計の設計概念そのものが数多くの種類に分化しているのです。
しかし、手段や設計概念が変わっても、免疫にウイルスの情報を教え込んで「一度感染したこと」にするという根本は維持されたままです。
これは冒頭で述べた自然や動物とのふれ合いがワクチンになる理由でもあります。
自然や動物との接触は雑多なウイルスを人体に経験させ、多くのウイルスに対して一度感染した状態にすることが可能になるのです。
免疫が記憶するウイルスの母数が多ければ、将来の致命的なウイルスに対しても免疫の防御成功率の上昇につながります。
同じような仕組みで、病原菌の発生源との近さも、広い意味でのワクチンになりえます。
病気の発生源に隣接した生活は継続的な感染を引き起こしますが、その全てが致命的とは限らず、多くは無症状か風邪レベルですみます。
新型コロナウイルスも発生源である中国や周辺のアジアでは比較的早い立ち直りをみせた一方、アメリカやヨーロッパでの被害が増しています。
その理由は発生源の近くでは何度も小さな感染が起こり、今回の新型に対しても中国に近い国ほど「一度感染したこと」に近い効果を発揮できたからだと考えられます。
日本の感染被害が比較的軽いのも、距離の効果と無関係ではなさそうです。
近年行われた日本の科学者による研究では、新型コロナウイルスに感染しても軽症ですんだ日本人の免疫は、新型コロナウイルスに対して一度感染したことがある反応を示したとされています。
同じような発生源からの距離の近さがワクチン的にはたらく事例は、人間以外の動物や植物でもみられます。