カゲロウが成虫になるまで
カゲロウはその寿命の短さで有名ですが、口もない生命が延々と子孫を残すことなど本当にできるのでしょうか?
答えは当然NOです。
実は数時間しか生きられないのは成虫となったカゲロウのみ。
原始的な昆虫であるカゲロウはトンボと同じく、幼虫時代を水の中で過ごします。
幼虫時代のカゲロウにはちゃんと口があり、脱皮を繰り返しながら2年ほどをかけて大きくなっていきます。
幼虫時代が寿命の大半を占めるという点では、セミに近いものがあります。
しかし、カゲロウが幼虫から成虫になる過程はセミとは比べ物にならないほど極めて特殊です。
成長しきった幼虫は水から這い出てハネのある姿に羽化して飛び回るのですが、実はさらにもう一度、脱皮します。
セミやチョウで例えるならば、抜け殻やサナギから羽化して飛び回っている状態で、さらに追加で脱皮を行うことになり、その特異さが際立ちます。
ハネがはえて飛べる状態で脱皮を行う虫はカゲロウしかいません。
なんとも奇妙な生態です。
しかし昆虫の先祖の姿により近いのは、原始的な姿を留めるカゲロウのほう。
新参者のセミやチョウのように水生時代がなく、ハネが生えるまで1回しか変化しないほうが、非オリジナルであるとも言えます。
しかしそうであるならば、昆虫の始祖はいったいどんな存在であったかが気になります。
幼い頃は水辺で過ごし、ハネがはえてたあとも脱皮を行う。
いったいどんな環境が、昆虫の祖先をそのような生活形態にさせたのでしょうか?
多くの昆虫研究者を悩ませてきたこの問題はいまだ解決されていません。
しかしカゲロウを研究することで、何かヒントがつかめるかもしれないのです。
次はカゲロウが進化ともに捨てた、とんでもない生態2つを紹介します!