セルロース由来の新しいバイオプラスチック
セルロース由来の新しいバイオプラスチック / Credit:Kai Zhang(Georg-August-University of Göttingen)_Press release: Eco-friendly plastic from cellulose and water(2021)
chemistry

水で変形するセルロース由来のバイオプラスチックが登場

2021.08.01 Sunday

プラスチックは軽量かつ安価で、適応性にも優れているため、今や日常生活に欠かせません。

ところが環境や人間の健康にとっては脅威となっており、科学者たちはさまざまな代替品を模索中です。

最近、ドイツのゲオルクアウグスト大学ゲッティンゲン(Georg-August-University of Göttingen)、通称ゲッティンゲン大学の木材技術部門に所属するカイ・チャン教授ら研究チームは、植物のセルロースから作られた環境にやさしいバイオプラスチックを開発しました。

この新エコプラスチックは、水に浸すことで自在に変形可能という特性があります。

研究の詳細は、7月8日付の科学誌『Nature Sustainability』に掲載されました。

Eco-friendly plastic from cellulose and water https://phys.org/news/2021-07-eco-friendly-plastic-cellulose.html
Hydroplastic polymers as eco-friendly hydrosetting plastics https://www.nature.com/articles/s41893-021-00743-1

原料は植物由来の天然ポリマー「セルロース」

植物の細胞壁の主成分であるセルロース
植物の細胞壁の主成分であるセルロース / Credit:Depositphotos

従来のプラスチックは、小さな分子のあつまり(モノマー)が複数結合してできた重合体(ポリマー)です。

新しく開発されたエコプラスチックには、植物の細胞壁や繊維の主成分であるセルロースが用いられました

このセルロースは、ごぼうや豆類、野菜だけでなく、植物すべてに含まれており、地球上で最も豊富に存在する天然のポリマーです。

そのため従来のプラスチック原料である石油とは異なり、セルロースはほぼ無尽蔵に得られる原料だと言えるでしょう。

研究チームは、セルロースの化学的性質のごく一部にわずかな変更を加えることで、新しい特性をもつバイオプラスチックを製造しました。

環境にやさしく、水によって自在に変形させられるプラスチックができたのです。

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