うま味って結局どんな味?
前項で解説したように、うま味受容体には「感度が低い」という弱点があります。
ところが最近の研究では、2種類のうま味物質を組み合わせることで相乗効果が発現すると分かっています。
例えばグルタミン酸とイノシン酸を同時に摂取すると、うま味効果が数倍にも跳ね上がるのです。
この効果は、私たちが既に体感しています。
昆布と鰹節、玉ねぎと肉などの組み合わせは世界各地でよく用いられますが、これはグルタミン酸とイノシン酸の組み合わせなのです。
そして、うま味は他の味を引き立ててくれます。
例えば、うま味調味料として知られているグルタミン酸ナトリウムは、それをお湯に溶いただけではあまりおいしくないでしょう。
ところがさまざまな食材を煮込んだスープにうま味調味料を加えると、とたんに味がグレードアップするのです。
では、うま味とは結局どんな味だと言えますか?
それは単独ではぼんやりとしていますが、料理に深みを与え、他の味を一層引き立てる味だと言えます。
説明するのは難しいですが、食べてみれば分かる、そんな味です。
そして、一度その味の増幅効果を知ってしまったら、もう「うま味」なしでは満足できなくなるでしょう。