どの心臓細胞も「鼓動の起点」となり得る
興味深いことに、どの細胞が最初に拍動するかは、特に決まっていませんでした。
複数のゼブラフィッシュの胚で比べたところ、起点となるカルシウム濃度の上昇は、常に同じ場所から発生するわけではなかったのです。
成体の心臓はペースメーカー細胞が基準となりますが、胚における心臓の細胞は、それぞれが独自に拍動する能力があり、どこが起点になるかを予測することは困難でした。
加えて研究チームは、瞬時に同期する細胞たちに驚きました。
彼らはその機能を「練習もなしに、最初から足並みをそろえて行進できる軍隊」と表現しています。
ちなみに、リズミカルな心臓の鼓動は、心臓が循環系に繋がれて血液を送り出すかなり前に発生するようです。
また研究チームによると、ゼブラフィッシュとヒヨコやマウスの胚は類似しているため、今回発見できた鼓動のメカニズムは、私たち人間を含む、脊椎動物のグループ全体に共通するかもしれません。
もしそうであるなら、不整脈など人間の心臓の異常がなぜ起こるのかを解明するのに役立つ可能性があります。
脊椎動物の最初の鼓動は、科学者たちの推測を超えるものでした。
今後も命の鼓動が開始される瞬間を突き詰めていくなら、さらに驚く発見があるかもしれません。