「賢さ」を調べるゲーム実験を実施!
馬と人の歴史は非常に古くからはじまっています。
人類は何千年も前から馬を家畜化して、狩りや戦場のお供とし、自動車が発明されるまでは運搬に関わる動力として広く活躍していました。
それにも関わらず、馬の学習能力を調べた研究は驚くほど少ないといいます。
ノッティンガム・トレント大の研究チームは以前から「馬の学習能力についてもっと理解したい」と考えていました。
というのも、それが分かれば馬をより人道的に飼育したり訓練することができ、馬の福祉に役立てられるからです。
そこでチームは今回、20頭の馬を対象に認知機能を調べるゲーム実験をしました。
ここでは馬が鼻先でカードに触れるとおやつをもらえるというゲームを開発しています。
最初は鼻でカードに触れるだけで報酬を与えるようにし、馬にルールを理解させたところで、徐々に難易度を上げていきました。
第2段階では「ランプ」を導入して、ランプの灯りがついているときはカードに触れても報酬はもらえず、ランプの灯りが消えているときにカードに触れると報酬がもらえました。
要するに、これはランプの灯りが報酬がもらえない”停止の合図”であることを意味しています。
実験の結果、馬たちはこの課題に失敗し続けました。
彼らはランプの灯りがついていようがいまいが、無差別にカードに触れ続け、定期的にやって来るランプ消灯時の報酬を得ていたのです。
一見すると、馬たちはランプが停止の合図であることを理解していないように見えました。
しかし研究者たちは次の実験で、そうではない可能性を見出します。
最終の第3段階では、ランプが点灯しているときにカードに触れると「ペナルティ」が課せられました。
10秒間のタイムアウトが与えられ、その間はゲームに参加することも報酬をもらうこともできなくなったのです。
実験の結果は驚くべきものでした。
それまで無差別にカードに触れ続けていた馬たちは、ペナルティが導入された途端、急にランプの点灯時にはカードに触れなくなったのです。
そしてランプの消灯時にのみカードに触れて、正しい判断をするようになっていました。
これは一体どういうことでしょうか。