「失敗する説得」と「成功する説得」の違いは?
ホフマン博士は、多くの広告や政治キャンペーン、医療メッセージが脅しや否定に依存していると指摘しています。
たとえば、「あいつに投票すれば生活が破滅する」といった政治広告や、「タバコを吸えばがんになる。財布も臭いも最悪だ」といった健康警告、「地球温暖化が進めば世界は滅びる」といった環境メッセージです。
これらは確かに事実かもしれませんが、脳の恐怖回避装置である扁桃体が作動し、学習や変化を拒絶する状態になってしまいます。
その結果、「怖いから聞きたくない」「うるさいから無視したい」と思わせてしまい、説得が失敗してしまうのです。

では、どうすれば脳が耳を傾けてくれるのでしょうか。
それは、ポジティブな未来を描くメッセージを使うことです。
たとえば、「禁煙した人の多くが食事がおいしくなり、肌ツヤが良くなり、家族関係も改善したと報告しています」といった健康メッセージがあります。
また、「再生可能エネルギーは新たな雇用を生み、健康被害を減らし、地域を豊かにします」といった環境の話や、「今から投資を始めれば、将来の自由と安心が手に入ります」といった金融の話もあります。
これらはすべて、得られる利益、つまりゲインにフォーカスしているのが特徴です。
脳は損を避けることよりも得をすることに強く反応する性質があり、予想を上回るポジティブな情報には、より多くのドーパミンが放出される傾向があります。
だからこそ、成功する説得は「恐怖の未来を防ぐ話」ではなく、「素敵な未来を実現する話」になるのです。
それらの要素を実際の場面で適用するための説得テクニックを見てみましょう。