実験室まで運べないなら、実験室を海に沈めればいい
ラーバシアンの粘液の家は実験室に運べず、ラーバシアン本体を捕らえても実験室では粘液の家を作ってくれません。
この厳しい条件を突破する手段として、アメリカの研究者たちは発想の転換を行いました。
研究者たちはDeepPIVと呼ばれる通常は実験室内で使われるレーザーシートイメージングデバイスを潜水艇に搭載し、研究装置ごとラーバシアンの元に向かったのです。
DeepPIVは非常に高性能な分析装置で、スキャンによって粘液の詳細な断面図構造を作成できます。
また、同時に3次元構造を構成できるだけでなく、粘液の内部を流れる海水の動きも記録可能です。
結果、上の図のように研究者たちはラーバシアンの粘液ハウスのほぼ完ぺきな構造データを取得することに成功しました。
また構造の分析から、興味深いことに、ラーバシアン本体の尾部の動きには、粘液ハウスをけん引する力がないこともわかりました。
これは、ラーバシアンの尾部は遊泳以外の目的で動いていたことを意味します。