ナノサイズの金属粒子を加えて水素を抽出する
エドワーズ氏らが加えたひと手間とは、ナノサイズの酸化鉄粒子と酸化アルミニウム粒子でした。
近年のナノテクノロジーの進歩により、導電性の金属をナノサイズまで砕いていくと、ある大きさ以下では金属としての振る舞いが停止し、マイクロ波の吸収量が10ケタ増加するという性質がわかってきました。
エドワーズ氏らはこれらナノサイズの金属粒子を、砕いたプラスチックの粉末と混ぜることで、粒子を介してプラスチックを温められると考えたのです。
実験を行った結果、予想は的中します。
ナノサイズの金属粒子はマイクロ波を吸収して高温になり、粒子(特に鉄粒子)の表面ではプラスチックが加熱されて水素が発生すると同時に「燃えカス」として炭素の塊が生成されたのです。
また計測により、この新しい方法の水素回収率は非常に優れており、プラスチックに含まれる水素の97%にあたる量を、わずか数秒で回収したことが判明しました。
さらに、より興味深い現象が、燃えカスとなった炭素塊から発見されます。