ヨモギの葉が寄生虫を減らしていた
チームは2つの巣箱を1セットとして、48セットを設置。片方は竹の葉を5グラム、もう片方にはニガヨモギの葉を5グラム入れています。
そこに集まってくるニュウナイスズメがどのような反応を見せるかを観察しました。
観察期間の間、巣のそれぞれに竹の葉、ニガヨモギを毎日追加、あるいは何も追加しないかのいずれかを行い、スズメ自身が巣に持ち込んだニガヨモギの量を測定しています。
その結果、スズメたちは、できるだけ野生のニガヨモギが生えている場所の近くの巣を積極的に選び、巣の中のニガヨモギの不足分だけ、新鮮な葉を集めて持ち込んでいました。
また、ニガヨモギが十分にある巣では、寄生虫の数が少ないことも判明しています。
同チームのウィリアム・フィーニー氏(オーストラリア・グリフィス大学)は「巣の中の寄生虫を減らすことで、親鳥は健康なヒナを産み、成長過程での病気を防ぐことができる」と説明します。
その一方で、スズメ自身がニガヨモギの効果を理解しているかどうかは微妙なところです。
大昔のニュウナイスズメがニガヨモギの匂いを好み、巣に持ち帰る中で、その形質が子孫に受け継がれただけなのかもしれません。
それでも今回の発見は、人間以外にもワクチン(予防薬)を使う動物がいるという確かな実例となっています。