味覚には食事のペースを落とす役割もあった
味覚には食事のペースを落とす役割もあった / Credit:Canva
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私たちの満腹感は「味覚」からも制御されていた (2/3)

2023.12.02 Saturday

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マウスの摂食行動を抑制する「口」と「胃腸」のプロセス

最初の実験では、カテーテルによって、マウスの胃に直接食物を入れました。

その結果、胃腸からに信号が送られ、PRLHニューロンが活性化されました。

マウスが通常通り口で餌を食べると、口から脳に信号が送られ、PRLHニューロンが活性化
マウスが通常通り口で餌を食べると、口から脳に信号が送られ、PRLHニューロンが活性化 / Credit:Canva

しかし次に、マウスに通常通り、口で餌を食べさせたところ、胃腸からの信号はなくなりました。

代わりに口から脳へ信号が送られ、PRLHニューロンが活性化されたのです。

つまりPRLHニューロンは、胃腸に食物が入っている場合にも活性化しますが、通常の食事形態では、口からの刺激(味覚や口腔接触)で活性化すると分かります。

ちなみに、PRLHニューロンの活性化により、マウスの総食物摂取量はほとんど変化しませんでした。

変化するのは食事のペースであり、この抑制効果により、急速な食物摂取による胃腸障害を防止できると考えられます。

加えて研究チームは、「PRLHニューロンの活性化は、マウスが食べ物をどれだけ美味しく感じるかに影響するようだ」ともコメントしています。

PRLH ニューロン (緑色) は、味覚から生成される信号に反応し、食べるペースを落とす。GCG ニューロン (赤色) は消化管からの信号に反応し、満腹感を与える
PRLH ニューロン (緑色) は、味覚から生成される信号に反応し、食べるペースを落とす。GCG ニューロン (赤色) は消化管からの信号に反応し、満腹感を与える / Credit:Knight Lab_From the First Bite, Our Sense of Taste Helps Pace Our Eating(2023)

一方、食欲を抑制するもう1つの脳細胞である「GCGニューロン」は、胃腸に食物が入った時に、胃腸からの信号で活性化しました。

これは、私たちがよく知っている満腹感のプロセスです。

これらの結果から、通常マウスが餌を食べる時、その脳は2種類のプロセスで摂食行動を抑制していると分かりました。

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