カエルは、しっぽのない両生類のなかま。世界に7,700種以上、日本にも42種がいます。オタマジャクシから姿を変えて大人になり、皮ふでも呼吸します。鳴き声でなかまを呼び、ねばねばした舌で虫をとらえて食べます。
図鑑データ
- 分類
- 動物界 › 脊索動物門 › 両生綱 › 無尾目
- 学名
- Anura
- 英名
- frog(フロッグ)、toad(トード)
- 種の数
- 7,700種以上(日本に5科42種)
- 大きさ
- 体長7.7mm(パエドフリネ・アマウエンシス)〜約35cm(ゴライアスガエル)
- すみか
- 南極をのぞく全大陸。水辺、森、木の上、土の中、乾いた土地にも
- 日本では
- ニホンアマガエル、トノサマガエル、ヒキガエルなど。ウシガエルは外来種
- 食べもの
- 大人は昆虫やクモなど。オタマジャクシの多くは藻など
- 寿命
- 野生ではよく分かっていない。飼育下で40年の記録(ヨーロッパヒキガエル)
- 増え方
- 多くは水中に卵を産み、オタマジャクシが変態してカエルになる
- 古い呼び名
- かわず
カエルとは
カエルは、両生類の「無尾目(むびもく)」にまとめられる生き物です。学名の Anura は、古代ギリシャ語で「しっぽがない」という意味。その名のとおり、大人になるとしっぽがありません。両生類の種の約87%をカエルがしめています。
世界には7,700種以上が知られていて、日本には5科42種がすんでいます。昔の日本では「かわず」とも呼ばれました。
英語では、皮ふがなめらかで水辺にすむものを frog、皮ふが乾いてイボイボしたヒキガエルのようなものを toad と呼ぶことが多いのですが、これは見た目による呼び分けで、分類とは関係ありません。
カエルの祖先に近い「原始的なカエル」の化石は、約2億5000万年前のマダガスカルの地層から見つかっています。2020年には、南極半島の島で約4000万年前のカエルの化石が見つかったと発表されました。
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大きさと体のつくり
知られている中でいちばん小さなカエルは、パプアニューギニアにすむパエドフリネ・アマウエンシス(Paedophryne amauensis)で、体長(鼻先からおしりまで)はわずか7.7mm。いちばん大きいのはアフリカ中部のゴライアスガエルで、体長約35cm、体重は約3.3kgになります。

- 後ろあし:とても長く、すねの骨や足首の骨がくっついて、1本の強い骨のようになっています。おもなあしの筋肉は、体重の17%以上をしめます。指は前あしに4本、後ろあしに5本です。
- 背骨:背骨は短く、しっぽの骨は1本の棒(尾骨)になって骨盤の中におさまっています。ほとんどの種で、ろっ骨がありません。
- 目:頭の上に飛び出した目で、ほぼ360度を見わたせます。ものを飲みこむときは、目玉を口の中のほうへ引っこめて、食べものをのどの奥へ押しこみます。ひとみの形は種によってさまざまで、2021年の研究では、7つの主な形に分けられました。
- 耳:目のうしろの丸い部分が鼓膜です。外に出た耳はありませんが、空気中でも水中でも音を聞くことができます。
- 皮ふ:たくさんの腺があり、体をしめらせたり、細菌から身を守る物質や毒を出したりします。数週間ごとに脱皮して、脱いだ皮はすぐに食べてしまいます。

皮ふでも呼吸する
カエルは肺でも呼吸しますが、ろっ骨や横隔膜がないため、のどをふくらませて空気を肺に押しこむという、空気を「飲む」ような呼吸をしています。そのぶん皮ふ呼吸が大切で、呼吸全体の30〜50%を皮ふでまかなっています。皮ふがある程度しめっていないと生きていけないのは、このためです。ボルネオ島にすむ Barbourula kalimantanensis というカエルは、肺をもたず、皮ふだけで呼吸しています。
色が変わるわけ
体の色を変えられるカエルもいます。ニホンアマガエルは、ふだんは背中が黄緑色ですが、まわりの環境や温度、湿度、明るさに合わせて、黒っぽいまだら模様の灰褐色にも変わります。皮ふの色素細胞を広げたり縮めたりして色を変えているのです。色は体温の調節にも使われ、すずしくしめった日には、暑く乾いた日より暗い色になります。

グラスフロッグ(アマガエルモドキ科)のなかまは、体が透き通っています。休んでいるときは、赤い血液のもとになる赤血球の約89%を肝臓にしまいこみ、体をより透明にしていることが、2022年の研究で分かりました。

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どこにいる? 日本のカエル
カエルは南極大陸をのぞくすべての大陸にいて、とくに熱帯の雨林に多くの種がいます。北極圏までくらすカエルもいます。多くは水辺にすみますが、木の上、土の中、砂漠のような乾いた場所でくらすものもいます。ただし、海水に入ると体の水分がうばわれて死んでしまうため、海にはふつうすめません(汽水域にすむ例外もいます)。
日本では、水辺や田んぼが多いことから、カエルは昔から身近な生き物です。木の上でくらすニホンアマガエルのほか、トノサマガエルやヒキガエルなどがいます。ニホンアマガエルは2025年に東西で2つの種に分けられ、関西より東などの集団は「ヒガシニホンアマガエル」という新種として記載されました。
いっぽう、北アメリカ原産のウシガエルは、1918年ごろに食用として日本へ持ちこまれ、今では各地に広がっています。昆虫から魚、鳥、小さな哺乳類まで、水辺のさまざまな動物を食べるため、特定外来生物に指定され、飼うことや生きたまま運ぶことが禁止されています。

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何を食べる?
大人のカエルは、ほとんどが肉食です。昆虫やクモ、ダニ、ミミズ、カタツムリなどを食べ、大きな種はほかのカエルや小さな哺乳類、魚まで食べます。ニホンアマガエルは動くものに反応して飛びつくので、死んだものや動かないものは食べません。
獲物をとらえるのは、ねばねばした舌です。舌は口の前のほうにつながっていて、ふだんは口の中にたたまれていますが、ものすごい速さで飛び出します。伸ばせる長さは、体の長さの3分の1から半分ほどです。舌のだ液は、獲物に当たって押されるとさらさらになって獲物をつつみ、そのあとはねばりのある状態にもどって、しっかりくっつきます。
飲みこんではいけないものを食べてしまったときは、胃ぶくろを口から出して洗うこともあります。
オタマジャクシの多くは草食で、水の中の藻などをけずりとって食べますが、昆虫や小さなオタマジャクシを食べる肉食のものもいます。
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カエルはなぜ鳴く?
カエルの鳴き声は種ごとにちがいます。鳴くのはおもにオスで、のどの下やほおの両側にある「鳴嚢(めいのう)」という袋をふくらませて、声を大きくひびかせます。中には、1.6kmはなれた所まで聞こえるほど大きな声の種もいます。

- 広告音:繁殖期にオスが自分の存在を知らせ、メスを呼び、ほかのオスを遠ざけるための声。春から夏の田んぼに響く大合唱がこれです。メスは、大きくて低い声のオスを好む傾向があります。
- 解除音:ほかのオスにメスとまちがえられて抱きつかれたオスが、「はなして」と出す声。
- 雨鳴き:雨が近づくと出す声。ニホンアマガエルは、繁殖期でなくても、昼間でも、雨が降りそうになると鳴きます。
- 危険音:敵につかまったときに、口を開けて出す大きな声。相手をおどろかせて、はなさせる役目があると考えられています。
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ジャンプ・泳ぎ・滑空
カエルは、体の大きさのわりには、脊椎動物でいちばんジャンプが得意なグループです。Litoria nasuta というカエルは、体長55mmなのに2m以上、体長の50倍以上の距離を跳びます。跳ぶときは、筋肉がまず足首のまわりの腱(けん)を引きのばし、その腱がパチンコのように一気にちぢむことで、筋肉だけでは出せない大きな力を生み出しています。
ジャンプが苦手なカエルもいます。ヒキガエルのなかまなど後ろあしの短いカエルは、跳ぶより歩くことが多いのです。
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水かきのある後ろあしで水をけって泳ぐほか、木の上でくらすカエルは指先の吸着パッドで枝や葉、ガラスにまで張りつきます。マレーシアやボルネオ島にすむワラストビガエルのように、大きな水かきを広げて、木から木へ最大15mほど滑空するカエルもいます。

オタマジャクシからカエルへ(増え方と寿命)
多くのカエルは、繁殖期に池や田んぼなどの水辺に集まります。オスはメスの背中に乗って前あしでしっかり抱きつき(抱接:ほうせつ)、メスが卵を産むと、すぐに精子をかけて受精させます。カエルが重なっているのは、この抱接のためです。抱接は数日続くこともあります。

1回に産む卵の数は、数個から数万個まで、種によって大きくちがいます。卵からかえったオタマジャクシは、えらで呼吸し、尾で泳いで水の中でくらします。やがて後ろあし、つづいて前あしが出て、しっぽは体に吸収されていき、カエルの姿へ「変態」します。変態は甲状腺ホルモンのはたらきで起こり、肺ができてえらが消え、腸も草食向きの長いものから肉食向きの短いものに作りかわります。

オタマジャクシの期間は種によってちがいます。ニホンアマガエルは1か月半ほどで変態しますが、ウシガエルはオタマジャクシのまま冬を越し、1〜2年かかります。なかには、オタマジャクシの時期がなく、卵から小さなカエルの姿でかえる種や、おなかの中で育てて子どもを産む種もいます。
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寒い地域のカエルは、冬になると土の中や池の底の泥の中などで冬眠します。アメリカアカガエルなどは体が凍っても生きのび、凍っているあいだは心臓が止まっていても、暖かくなると呼吸と心臓の動きがもどります。大切な臓器は、ブドウ糖を多くためることで凍らないように守られています。
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野生のカエルの寿命はよく分かっていませんが、ニホンアマガエルは数年ほどとみられています。骨にきざまれた年輪を調べた研究では、14歳と推定されたカエルもいます(4年間のオタマジャクシの時期をふくむ)。飼育下では、ヨーロッパヒキガエルが40年生きた記録があります。
名前の由来と人とのかかわり
「カエル」という名前は、ほかの土地に移しても必ず元の場所へ帰ってくる性質からついた、という説が、貝原益軒の『大和本草』に書かれています。ここから「お金がかえる」として、カエルのお守りを財布に入れる習慣も生まれました。
カエルは『万葉集』の時代から、鳴き声が歌に詠まれてきました。松尾芭蕉の「古池や蛙飛び込む水の音」はとくに有名です。
科学の研究でも、カエルは大活躍してきました。18世紀には、ガルヴァーニがカエルの脚を使って、電気と神経の関係を発見しました。1952年には、カエルで細胞の核を移植するクローン実験が成功し、のちにクローン羊ドリーを生んだ技術の先がけとなりました。
いっぽうで、カエルは世界中で数を減らしています。1950年代から大きく減りはじめ、3分の1以上の種が絶滅のおそれがあり、1980年代以降に120種以上が絶滅したと考えられています。カエルツボカビ症という感染症や、すみかの破壊、汚染などが原因です。
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よくある疑問
- カエルはなぜ鳴くの?
- おもにオスが、繁殖期にメスを呼び、ほかのオスに自分の存在を知らせるために鳴きます(広告音)。ニホンアマガエルのように、雨が近づくと繁殖期でなくても鳴く「雨鳴き」をするカエルもいます。
- カエルが重なっているのはなぜ?
- 「抱接(ほうせつ)」といって、オスがメスの背中に抱きついている状態です。メスが卵を産むとすぐにオスが精子をかけて受精させます。抱接は数日続くこともあります。
- カエルはなぜ色が変わるの?
- 皮ふの色素細胞を広げたり縮めたりして、体の色を変えています。ニホンアマガエルは、まわりの環境や温度、湿度、明るさに合わせて、黄緑色から灰褐色のまだら模様に変わります。色は体温の調節にも使われます。
- カエルは冬どうしているの?
- 寒い地域のカエルは、土の中や池の底の泥の中などで冬眠します。アメリカアカガエルのように、体が凍っても、暖かくなると生き返る種もいます。
- カエルの寿命はどれくらい?
- 野生での寿命はよく分かっていませんが、ニホンアマガエルは数年ほどとみられています。飼育下では、ヨーロッパヒキガエルが40年生きた記録があります。
- ニホンアマガエルに毒はある?
- 皮ふの粘膜から毒を出しています。手でさわるだけなら問題ありませんが、傷のある手でさわったり、さわった手で目や口をこすったりすると、激しく痛むことがあります。さわったあとは手を洗いましょう。
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参考文献
- Taboada C ほか (2022) Glassfrogs conceal blood in their liver to maintain transparency. Science
- Cervino NG ほか (2021) A closer look at pupil diversity and evolution in frogs and toads. Proceedings of the Royal Society B
- Wikipedia「カエル」(日本語版)
- Wikipedia「Frog」(英語版)
- Wikipedia「ニホンアマガエル」(日本語版)
- Wikipedia「ウシガエル」(日本語版)
- Wikipedia「オタマジャクシ」(日本語版)
- Wikidata「Anura」(Q53636)
表紙の写真: Alpsdake(CC BY-SA 3.0) / Wikimedia Commons
ほかの写真のクレジットは、それぞれの写真のページにあります。
この図鑑は、参考文献の資料をもとに、ナゾロジー編集部がまとめています。











