青い海の中を横向きに泳ぐホホジロザメ No.0008

ナゾロジー図鑑 ・ 生き物

サメ

Selachimorpha

骨はやわらかい軟骨、
歯は一生生え変わる。

ナゾロジーの記事
83本
なかま
500種以上
最大(ジンベエザメ)
12m以上

サメは、骨格がやわらかい軟骨でできた魚のなかま。世界に500種以上、日本の近くの海にも約130種がいます。何度でも生え変わる歯や、わずかな血のにおいや電気を感じとる鋭い感覚をもち、400年近く生きる種もいます。

図鑑データ

分類
動物界 › 脊索動物門 › 軟骨魚綱 › 板鰓亜綱(サメのなかま)
学名
Selachimorpha(Selachii)
英名
shark(シャーク)
種の数
500種以上(日本の近海に約130種)
大きさ
全長17〜20cmほど(カラスザメのなかま)〜12m以上(ジンベエザメ)
すみか
世界中の海。多くは水深2,000mまで。川に入る種もいる
日本では
近海に約130種。水揚げの約9割が宮城県の気仙沼漁港
食べもの
魚・イカ・甲殻類・海の哺乳類など。プランクトンを食べる種もいる
寿命
多くは20〜30年。ニシオンデンザメは392±120歳と推定
増え方
体内で受精。卵を産む種と、子どもを産む種がいる
別名
フカ、ワニ(古い呼び名や方言)

サメとは

サメは、骨格がやわらかい軟骨でできた「軟骨魚類(なんこつぎょるい)」のなかまです。こわいイメージがありますが、れっきとした魚です。同じ軟骨魚類のエイとは近い親戚で、えらの穴(鰓孔:さいこう)が体の横に開いているのがサメ、おなか側に開いているのがエイと区別されています。

世界には500種以上のサメがいます。日本の近くの海でも、2020年11月の時点で約130種が確認されています。

サメに似た姿の魚は、約4億年前のデボン紀にはもう現れていました。今のサメにつながるなかまの確かな化石は、約2億年前のジュラ紀前期から見つかっています。

大きさと体のつくり

いちばん大きいジンベエザメは全長12mをこえ、今いる魚の中で最大です。いっぽう、深海にすむ小さなカラスザメのなかまは、全長17〜20cmほどしかありません。多くのサメは全長1〜3mくらいです。

水面近くでダイバーと並んで泳ぐ大きなジンベエザメ
ダイバーと並んで泳ぐジンベエザメ写真: Lakshmi Sawitri(CC BY 2.0) / Wikimedia Commons
  • 骨:骨格はすべて軟骨です。軟骨の重さはふつうの骨の半分ほどなので、体が軽くなります。あばら骨(ろっ骨)はありません。
  • 浮き袋のかわりの肝臓:ふつうの魚がもつ浮き袋がなく、油をたっぷりふくんだ大きな肝臓で浮きやすくしています。肝臓は体重の30%にもなります。
  • えら:えらぶたがなく、頭のうしろに5〜7対のえらの穴が並んでいます。
  • 尾びれ:多くのサメは尾びれの上の部分が下より長く、泳ぐと体を持ち上げる力が生まれます。
  • 皮ふ:歯と同じつくりの小さなうろこ(楯鱗:じゅんりん)でおおわれています。頭から尾へなでるとなめらかで、逆になでるとザラザラします。これが「さめ肌」です。泳ぐときの水の乱れを減らす役目があると考えられています。
小さなうろこがすき間なく並ぶサメの皮ふの電子顕微鏡写真
電子顕微鏡で見たサメの皮ふ写真: Daly-Engel TS ほか(2018年、ZooKeys)(CC BY 4.0) / Wikimedia Commons

歯は何度でも生え変わる

サメの歯は、あごの骨に直接くっついておらず、歯ぐきにうまっています。使っている歯の内側には次の歯が何列も控えていて、ベルトコンベヤーのように少しずつ前へ出てきます。生え変わる速さは、8〜10日に1回から数か月に1回まで、種によってさまざまです。1匹が一生のあいだに使う歯は、数千本以上になると考えられています。

歯の形は食べものによってちがいます。貝やカニを食べるサメは平たくてかみくだく歯、魚を食べるサメは細くとがった歯、大きな動物をおそうサメは、ふちがギザギザの三角形の歯をもっています。

とがった歯が何列も並ぶアオザメのあごの標本
アオザメのあごの骨格写真: Didier Descouens(CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons

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サメのすごい感覚

  • におい:とても鼻がよく、種によっては100万分の1ほどにうすまった血にも気づきます。左右の鼻の穴でにおいを感じる時間の差から、においがどちらから来るのかも分かります。
  • 電気:鼻先には「ロレンチーニ器官」という感覚器の小さな穴がたくさんあり、生き物の体から出るわずかな電気を感じとれます。砂の中にかくれた獲物も、この感覚で見つけられます。
  • 目:網膜のうしろに光をはね返す層(タペータム)があり、暗い海の中でも見えやすくなっています。ただ、17種を調べた研究では10種が色を感じる細胞をもっておらず、サメは色の区別がほとんどできないと考えられています。
  • 耳と側線:頭の小さな穴の奥に耳があり、体の横に並ぶ「側線」では、近くの水の流れや圧力の変化を感じとります。

小さな点のような穴が並ぶサメの鼻先の裏側
鼻先に並ぶロレンチーニ器官の穴写真: Assianir(CC BY-SA 4.0) / Wikimedia Commons

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どこにいる? 日本にもいる?

サメは世界中の海にいて、多くは水深2,000mくらいまでの海でくらしています。もっと深くにすむなかまもいますが、3,000mより深い所ではほとんど見つかっておらず、確かめられている最も深い記録は3,700mです。

ほとんどのサメは川などの淡水では生きられませんが、オオメジロザメのように、海と川のどちらでもくらせる種もいます。

日本のまわりの海にも、2020年11月の時点で約130種がいます。日本で水揚げされるサメの約9割は、宮城県の気仙沼漁港に集まっています。

青い海の中を群れで泳ぐアカシュモクザメ
伊豆の海を泳ぐアカシュモクザメの群れ写真: RYO SATO(CC BY-SA 2.0) / Wikimedia Commons

何を食べる? 人をおそうことはある?

ほとんどのサメは肉食です。魚やイカなどを中心に、海の哺乳類や爬虫類、海鳥まで食べます。海底にすむサメには、カニなどの甲殻類を平たい歯でかみくだいて食べるものもいます。ジンベエザメ、ウバザメ、メガマウスは、海水ごとプランクトンや小魚を口に入れ、えらでこしとって食べます。

海底でまわりの景色にとけこみ、近づいた獲物を吸いこむ「待ちぶせ型」のサメもいます。ボンネットヘッド(英名)というサメは海草もたくさん食べ、その約50%を消化できることが分かっています。ジンベエザメも、海をただよう海藻を食べていることが2022年の研究で示されました。

岩の上で体を平たくして待ちぶせするまだら模様のサメ
海底で待ちぶせするウォビゴン写真: Rick Stuart-Smith / Reef Life Survey(CC BY 4.0) / Wikimedia Commons

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人がサメにおそわれる事故も起きていますが、人に害をあたえるおそれのあるサメは約30種と、全体の1%にもなりません。事故の多くは、ホホジロザメ、イタチザメ、オオメジロザメなど一部の大型種によるものです。2001〜2006年に、こちらから何もしていないのにサメにおそわれて亡くなった人は、世界で1年に平均4.3人でした。

サメが人をおそう理由ははっきりしていませんが、アザラシなどいつもの獲物とまちがえている可能性が指摘されています。サーフボードに乗った人は、下から見るとアザラシによく似ているとされます。

緑色の海でサーフボードに乗る2人と、少しはなれて泳ぐサメを上から写した写真
サーファーの近くを泳ぐホホジロザメ写真: Rex ほか(論文の図)(CC BY 4.0) / Wikimedia Commons

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泳ぎ続けないと死ぬって本当?

サメは、えらに水を通して呼吸します。泳いでいるときは口から入った水が自然にえらを流れますが、多くのサメは止まっていても、えらに水を送りこんで呼吸できます。目のうしろの小さな穴(噴水孔:ふんすいこう)を使うものもいます。コモリザメのように、海底でじっと休むサメもいます。

ただし、えらに水を送る力を失っていて、泳ぎ続けないと息ができない種も少しだけいます。また、サメには浮き袋がないので、止まると少しずつ沈んでいきます。「止まると死ぬ」は、すべてのサメに当てはまるわけではないのです。

岩のひさしの下の砂地で休むコモリザメ
岩かげの海底で休むコモリザメ写真: Florida Keys National Marine Sanctuary(Public domain) / Wikimedia Commons

アカシュモクザメは、水深800mをこえる冷たい深海までくり返しもぐります。そのあいだ、えらのはたらきを止めて「息止め」のような状態になり、体の熱が逃げるのを防いでいると考えられています(2023年の研究)。

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サメは眠るの?

泳ぎ続ける必要のあるサメでは、泳ぐ動きを脳ではなく脊髄(せきずい)がコントロールしているため、眠ったまま泳げる可能性があると考えられています。2022年の研究では、海底で休むサメが眠っているあいだは代謝が下がり、体をぺたりと平らにしていることが確かめられました。目を閉じているかどうかは、眠りの目安にはなりにくいことも分かりました。

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寿命と増え方

サメの寿命は種によってちがい、多くは20〜30年ほどです。アブラツノザメのように100年以上生きるものもいます。北大西洋や北極海の冷たい海にすむニシオンデンザメは、目のレンズを使った2016年の年齢調査で、全長5.02mの個体が392±120歳(少なくとも272歳)と推定されました。大人になるまでに約150年かかると考えられていて、知られている中で最も長生きする脊椎動物です。

暗い深海の海底近くを泳ぐニシオンデンザメ
深海を泳ぐニシオンデンザメ写真: NOAA Photo Library(Public domain) / Wikimedia Commons

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サメは、体の中で受精します。オスの腹びれの一部が「クラスパー」という交尾器になっていて、メスの体内に精子を送ります。子どもの生まれ方は、種によって3通りあります。

  • 卵を産む:革のようにじょうぶなケースに入った卵を海の中に産みます。ポートジャクソンネコザメなど。
  • おなかの中で卵をかえして産む:多くのサメがこの方法です。卵からかえった子どもは、母親の体内である程度大きくなってから生まれます。ネズミザメのなかまでは、先にかえった子どもがあとからできる卵を食べて育ち、シロワニの子どもは、となりのきょうだいまで食べてしまいます。
  • 母親から栄養をもらって育ち、産まれる:シュモクザメのなかまや、オオメジロザメなどのメジロザメのなかまです。
半透明のケースの中に卵が透けて見えるサメの卵
海底に産みつけられたサメの卵写真: vagabondvince310(CC BY 2.0) / Wikimedia Commons

1回に産む子どもの数は2匹から100匹以上までさまざまです。大人になるのはおそく、ニシレモンザメでは13〜15歳ごろです。オスと会っていないメスが、メスだけで子どもを産む「単為生殖(たんいせいしょく)」も、何度か確かめられています。

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名前の由来と人とのかかわり

「サメ」という名前の由来にはいくつかの説があります。よく知られているのは、体のわりに目が小さいことから「小さい目」が「さめ」になった、という説です。古くは「ワニ(和邇)」や「フカ(鱶)」とも呼ばれ、『古事記』の「因幡の白兎」に出てくる「ワニ」もサメのことです。今でも出雲地方のことばでは、サメを「ワニ」と呼びます。

日本では昔からサメを食べてきました。身はかまぼこやはんぺんの材料になり、ひれは中華料理の高級食材「フカヒレ」に使われます。海から遠い広島県の山あいでは、くさりにくい海の魚としてサメが好まれ、「ワニ料理」として刺身で食べてきました。ざらざらしたサメの皮は、わさびおろしにも使われます。

いっぽう、サメは成長がおそく、子どもの数も少ないため、とりすぎると数が減りやすい生き物です。2021年の研究では、外洋のサメとエイの数が、過去50年で71%減ったと報告されています。

よくある疑問

サメは哺乳類? 何類?
サメは魚類です。骨格が軟骨でできた「軟骨魚類」のなかまで、エイと近い親戚です。おなかの中で子どもを育てて産む種もいますが、えらで呼吸する魚で、哺乳類ではありません。
サメは止まると死ぬの?
すべてのサメではありません。多くのサメは止まっていても、えらに水を送りこんで呼吸できます。泳ぎ続けないと息ができない種は一部だけです。ただし浮き袋がないので、止まると少しずつ沈みます。
サメの歯は何回生え変わる?
一生のあいだ、何度でも生え変わります。歯の内側に次の歯が何列も控えていて、8〜10日に1回から数か月に1回ほどの速さで、順番に前へ出てきます。
サメの肉がアンモニアくさくなるのはなぜ?
サメは、体の水分のバランスをとるために、血や体に尿素を多くためています(最大で2.5%ほど)。死んだあと、この尿素が細菌に分解されてアンモニアになるため、時間がたつとにおいが強くなります。
寿命が400年のサメがいるって本当?
ニシオンデンザメという北の冷たい海のサメです。2016年の調査で、392±120歳(少なくとも272歳)と推定された個体が見つかりました。知られている中で最も長生きの脊椎動物です。ほかの多くのサメの寿命は20〜30年ほどです。
日本の海でもサメの事故はある?
まれにあります。日本でも1992年と1995年に、潜って漁をしていた人がホホジロザメにおそわれて亡くなりました。海水浴場の近くに危険なサメが現れたときは、遊泳を禁止したり、サメよけのネットを張ったりして対策がとられます。

ナゾロジーで読む83本

  1. 01 体長わずか21.5cmの新種「ランタンシャーク」を発見
  2. 02 エジプトの砂漠で「サメの墓場」を発見、7000万年前は豊かな海だった
  3. 03 史上初、サメに装着したカメラで「ホオジロザメ」の撮影に成功
  4. 04 超貴重「ジンベエザメ目線」の撮影に成功ーー知られざる海中生活が明らかに
  5. 05 全長24m超え、史上最大級の「メガロドン化石」を再発見

参考文献

  1. Nielsen J ほか (2016) Eye lens radiocarbon reveals centuries of longevity in the Greenland shark (Somniosus microcephalus). Science
  2. Kelly ML ほか (2022) Energy conservation characterizes sleep in sharks. Biology Letters
  3. Royer M ほか (2023) “Breath holding” as a thermoregulation strategy in the deep-diving scalloped hammerhead shark. Science
  4. Meekan MG ほか (2022) The world's largest omnivore is a fish. Ecology
  5. Pacoureau N ほか (2021) Half a century of global decline in oceanic sharks and rays. Nature
  6. Wikipedia「サメ」(日本語版)
  7. Wikipedia「Shark」(英語版)
  8. Wikipedia「ニシオンデンザメ」(日本語版)
  9. Wikidata「shark」(Q7372)

表紙の写真: Elias Levy(CC BY 2.0) / Wikimedia Commons
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この図鑑は、参考文献の資料をもとに、ナゾロジー編集部がまとめています。